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イライラ / イラつく / トイレが近くなる / むくみ / 下痢 / 体重が増える / 体重が減る / 便秘 / 全身に汗をかく / 全身の震え / 動悸 / 声のかすれ / 寒い / 寒がり / 寒気 / 怒りっぽい / 怒る / 手の震え / 抑うつ症状 / 指の震え / 暑がり / 毛が抜ける / 汗かき / 汗をかく / 無気力 / 生理が止まる / 疲れやすい / 疲労感 / 皮膚が乾く / 皮膚が乾燥 / 皮膚の乾燥 / 目がとび出る / 目が閉じない / 眠い / 眠気 / 筋力低下 / 脱毛 / 落ち着きがない / 落ち着きがなくなる / 計算力の低下 / 記憶力の低下 / 記憶障害 / 足の震え / 軟便 / 震え / 首が腫れる / 首の腫れ
内分泌内科では、視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎といったさまざまな内分泌腺から分泌される「ホルモン」の異常によって起こる病気の診断と治療を行います。診断には採血検査や超音波を行います。
代表的な内分泌臓器と疾患例
内分泌疾患は生体の代謝の恒常性を保つためにさまざまなホルモンを分泌している内分泌臓器が、何らかの原因によりホルモンのバランスを崩すことで、さまざまな症状を引き起こします。
内分泌疾患の中でも比較的多いのは甲状腺疾患と言われています。
主な内分泌臓器と疾患例には下記のようなものがあります。(一例)
内分泌臓器 | 疾患例 |
---|---|
脳視床下部・下垂体 | 低身長症、先端巨大症、乳汁漏出症 など |
甲状腺 | バセドウ病、甲状腺機能低下症 など |
副甲状腺 | 高カルシウム血症、骨粗鬆症 など |
膵臓 | 糖尿病 など |
副腎 | 高血圧症、低血圧症 など |
卵巣・精巣 | インポテンツ、無月経、不妊 など |
心臓 | 心不全 など |
肝臓 | 糖代謝異常 など |
腎臓 | 貧血 など |
当院では、超音波(エコー)による甲状腺腫の発見から甲状腺ホルモンのコントロールから甲状腺腫瘍の発見まで対応可能です。
主なホルモンとその役割
私たちの体が、外気温に左右されることなく体温を一定に保てている理由は、体内を一定の状態に保つホメオスタシス(恒常性)が正常に維持できているからです。そして、維持できる要因のひとつが、ホルモンです。体内で異常をきたすとホルモン分泌が働き、元の状態に戻そうとします。さまざまなホルモンによって健康を保つことができる、重要な役割となっています。
内分泌臓器 | ホルモンの種類 | 作用 |
---|---|---|
下垂体前葉 | 成長ホルモン、プロラクチン | 成長促進、白同化、糖・脂質代謝調節、乳汁分泌 |
下垂体後葉 | 抗利尿ホルモン | 尿濃縮作用、血管収縮作用 |
甲状腺 | 甲状腺ホルモン | 全身の細胞に働いてエネルギー代謝や成長発育を促進 |
副甲状腺 | 副甲状腺ホルモン | 血中カルシウム濃度を恒常的に維持 |
副腎皮質 | コルチゾール、アルドステロン、DHEA-S | 糖・脂質・タンパク代謝、抗炎症・抗アレルギー作用 |
副腎髄質 | アドレナリン、ノルアドレナリン | 血圧上昇作用、心臓賦活作用、糖・脂質代謝 |
卵巣 | エストロゲン、プロゲステロン | 月経発来、動脈硬化抑制、骨吸収抑制、女性的性格形成 |
精巣 | テストステロン | 生殖器官の成長、男性化、男性的性格形成 |
主な対象疾患の別名
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足して発症する病気を甲状腺機能低下症といいます。
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の場合は、治療が行われていないと精神運動発達遅延を起こしてしまいますが、最近では、「新生児マススクリーニング」によってほとんどの症例を発見することが可能です。
後天性甲状腺機能低下症は小児期に発症し、自己免疫性甲状腺炎がほとんどです。
甲状腺ホルモンは、全身の細胞に働き、エネルギー代謝や成長発育を促進するものなので、成長には不可欠です。これが低下すると、発症年齢から突然身長が伸びなくなるので、異変に気づきやすい疾患です。
症状
甲状腺の低下により、全身の代謝が低下します。それに伴い体のさまざまな機能が低下します。
例えば、消化管運動が低下すれば便秘になりますし、精神機能が低下すれば眠気や記憶障害、抑うつ症状や無気力を引き起こし、心臓機能が低下すれば脈が遅くなります。他にも、皮膚の乾燥や脱毛、むくみ、声のかすれ、体重増加、寒気、疲労感などもありますので、軽度の場合は特に、どの症状も明白な決め手となりづらく、治療が遅れる場合もあります。
甲状腺機能低下の原因
- 甲状腺そのものが原因
- 「原発性甲状腺機能低下症」といいます。主に、甲状腺が破壊される病気によるもの。一般的によく見られるのが、こちらのタイプです。
- 脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)不足により甲状腺が低下
- 「中枢性甲状腺機能低下症」といいます。甲状腺刺激ホルモン(TSH)の減少や、視床下部から分泌されてTSHを刺激する甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の減少により生じます。これらのケースは、まれなタイプです。
治療の種類
まず、治療を始める前に「一過性の甲状腺機能低下症」「永続性の甲状腺機能低下症」どちらなのかを判断する必要があります。
- 一過性甲状腺機能低下症の場合
-
症状が強い場合は数カ月の間、合成T3製剤(チロナミン®)を内服。患者さまの血清が正常化されると中止します。
ヨウ素の過剰摂取による甲状腺機能低下症を起こしている場合も、ヨウ素の摂取制限をすることで甲状腺機能回復となることもあります。
出産後に甲状腺機能の異常が生じる「出産後自己免疫性甲状腺症候群」を含める無痛性甲状腺炎や、亜急性甲状腺炎の回復期にある患者さまに、程度の違う甲状腺機能低下症を示す場合がありますが、こちらは甲状腺機能低下症の治療は必要がないとみられています。
- 永続的甲状腺機能低下症の場合
-
合成T4製剤(チラーヂン®)服用での治療を行います。内服治療は少量から開始され、維持量に至るまで数カ月かけて徐々に増やしていきます。
治療を開始するにあたって特に注意を払うべきケースは、狭心症などの虚血性心疾患を合併されている場合です。この場合は、治療開始時に、狭心症の頻発や心筋梗塞を引き起こす可能性があります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌され、全身の代謝が高まる病気です。時々、甲状腺機能亢進症とバセドウ病は同じ意味として使われていますが、厳密には違います。
バセドウ病以外にも無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、機能性甲状腺腫(プラマー病)でも甲状腺ホルモンが過剰になります。さらに故意や事故で甲状腺ホルモンを過剰に摂取するといったこともありますが、ここではバセドウ病について説明します。
バセドウ病とは、この病気を報告したドイツ人医師の名前に由来し、アメリカやイギリスでは別の医師の名前をとってグレーブス病と呼んでいます。
原因
血液中にTSHレセプター抗体(TRAb)ができることが原因です。この抗体は、甲状腺の機能を調節している甲状腺刺激ホルモン(TSH)というホルモンの情報の受け手であるTSHレセプターに対する抗体です。これが甲状腺を無制限に刺激するので、甲状腺ホルモンが過剰につくられて機能亢進症が起こってしまいます。このTRAbができる原因はまだ詳しくはわかっていませんが、甲状腺の病気は家族に同じ病気の人が多いことでもわかるように、遺伝的素因が関係しています。
症状
甲状腺ホルモンが過剰になると全身の代謝が亢進するので、食欲が湧きよく食べるのにも関わらず体重が減っていき(高齢になると体重減少だけ)、暑がりになり、全身に汗をかくようになります。
精神的には興奮して活発になるわりにまとまりがなく、疲れやすくなり、動悸を1日中感じるようになります。手が震えて字が書きにくくなり、ひどくなると足や全身が震えるようになります。イライラして怒りっぽくなり、排便の回数が増えます。大きさは違いますが、ほとんどの症例で軟らかいびまん性の甲状腺腫が認められています。
バセドウ病になると眼球が突出するとよくいわれていますが、実際には5人に1人くらいです。
検査と診断
甲状腺機能亢進症は甲状腺刺激ホルモン(TSH)と甲状腺ホルモン(遊離チロキシン:FT4)を測定して診断します。さらにバセドウ病であることを確認するには、原因であるTSHレセプター抗体(TRAb)を測定します。まれにこの抗体が陰性のことがあり、無痛性甲状腺炎と区別したい時は放射性ヨード摂取率を測定します。眼球突出などバセドウ病眼症の診断には、眼窩CT検査やMRI検査をすることもあります。
治療の方法
抗甲状腺薬治療、手術、アイソトープ治療の3種類がありますが、通常、抗甲状腺薬治療を行います。抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)は甲状腺ホルモンの合成を抑える薬です。この薬を使用すると、4週間くらいで甲状腺ホルモンの量が下がり始め、2カ月もすると正常になって、自覚症状はなくなり、完全に治ったようになります。しかし、原因のTRAbが消えるのは2~3年後なので、TRAbが陽性の間は抗甲状腺薬をのみ続ける必要があります。いつまでもTRAbが陰性にならない場合は、甲状腺を一部残して切除する甲状腺亜全摘出術をするか、放射性ヨードを投与して甲状腺を壊すアイソトープ治療をします。このどちらを選ぶかは、甲状腺の大きさや年齢、妊娠の希望などを考慮して判断します。なお、抗甲状腺薬は妊娠中でも医師の指示のもとに服用することが可能です。バセドウ病は女性では100人に1人の割合でみられる病気で、決してまれなものではありません。自覚症状がなくなっても治ったわけではないので、薬をやめるタイミングや、薬物治療以外の治療に切り替えるタイミングなど難しい点があるので、甲状腺専門医と相談しながら治療することをおすすめします。
バセドウ病
バセドウ病とは
甲状腺ホルモンは、全身の臓器に作用して代謝を司るなど大切な働きをするホルモンです。バセドウ病は、このホルモンを過剰に産生する病気(甲状腺機能亢進症)の代表的な病気です。
原因
バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患は、細菌やウイルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にすることで起きる病気の総称です。下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(Thyroid-stimulating hormone:TSH)が甲状腺ろ胞細胞のTSH受容体を刺激することによって甲状腺ホルモンは分泌されます。バセドウ病は、このTSH受容体に対する抗体が体内で作られてTSH受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されることで起きます。TSH受容体に対する自己抗体が作られる原因は分かっていませんが、バセドウ病になりやすい体質を持っている人が、ウイルス感染や強いストレスや妊娠・出産などをきっかけに起こるのではないかと考えられています。
症状
代謝に関わる甲状腺ホルモンや、交感神経系のカテコールアミンが過剰になるため、典型的には、動悸、体重減少、指の震え、暑がり、汗かきなどの症状が発生します。その他、疲れやすい、軟便・下痢、筋力低下、精神的なイライラや落ち着きがなくなることもあります。女性では生理が止まることがあります。甲状腺は全体的に大きく腫れてきます(甲状腺はのどぼとけのすぐ下にあります)。目が完全に閉じなくなったり目がとび出たりなど眼の症状が出ることもあります。その他、運動の後や炭水化物の多い食事をした後などに手足が突然動かなくなる発作が起こることがあり(周期性四肢麻痺)、特に男性によくみられます。
治療の方法
治療法は、薬物(抗甲状腺薬)治療、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つに大きく分けられます。
- 薬物療法
-
薬物療法は、とても簡便で外来で治療が始められるため、多くの場合に第1選択となっています。永続的な甲状腺機能低下症になることはめったにありません。欠点としては、副作用が生じる可能性があることや、治療効果に個人差が大きく、いったん寛解(症状が一時的にでても消えたり、安定して薬を中止できること)しても再発率が高いことなどがあります。薬物療法を2年以上継続しても薬を中止できる目途が立たない際は、他の治療法を検討します。
- 放射性ヨウ素内用療法
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放射性ヨウ素内用療法は、安全で効果が確実であり、甲状腺の腫れも小さくなります。再発しないように甲状腺機能低下をめざすと甲状腺ホルモン薬の服用が必要になる場合があります。欠点としては、実施できる医療機関が限定されていること、バセドウ病による眼の症状が悪化することがあること、小児や妊婦・授乳婦では行えないことなどが挙げられます。
- 甲状腺摘除術
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甲状腺摘出術は、早く確実に治療効果があります。再発がないように全摘除を行う際には、甲状腺ホルモン薬の服用が必要になります。欠点としては、手術痕が残ること、入院が必ず必要であること、手術合併症(反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症など)が生じるリスクがあることなどがあります。
慢性甲状腺炎(橋本病)
慢性甲状腺炎(橋本病)とは
血液中に甲状腺に対する自己抗体が存在するので、甲状腺が正常に機能できなくなり、新陳代謝を司る甲状腺ホルモンの分泌が損なわれ、さまざまな症状が発生します。
原因
本来は外部から入り込んだ異物に対して起きる免疫反応が、自分の体の細胞に対して起きて甲状腺の細胞が壊れ、細胞と細胞の間に線維化が起こる臓器特異的自己免疫疾患です。女性に圧倒的に多く発症するといわれています。
症状
甲状腺は予備能力がある臓器ですので、多少破壊されても甲状腺ホルモンを作る能力が低下することはありません。しかし、破壊が甲状腺全体に広がってしまうと機能低下症になります。炎症といっても、何年もかかってゆるやかに起こる炎症なので、痛みや発熱が起こることはありません。甲状腺腫は全体にはれていて硬く、表面はこぶ状あるいは小顆粒状に触れます。大きさはさまざまですが、よっぽど大きくないかぎり、物が飲み込みにくくなったり、呼吸困難になることはありません。甲状腺の機能も大半は正常なので、慢性甲状腺炎(橋本病)というだけでは自覚症状もなく、治療の必要もありません。しかし、加齢とともに甲状腺機能低下症の頻度が増すと、最終的には軽度のものも含めて20~30%は機能低下症になります。甲状腺機能低下症からみると、原因の多くは慢性甲状腺炎(橋本病)です。甲状腺機能低下症になると寒がり、便秘、記憶力・計算力の低下、眠気などを自覚しはじめ、さらに低下症が進むと顔面がはれぼったく、むくむようになります。慢性甲状腺炎で甲状腺機能低下症になった例でも、時に甲状腺の機能は回復することがあります。無痛性甲状腺炎といって、一過性に甲状腺ホルモンが増えることもあります。
検査と診断
慢性甲状腺炎はもともと甲状腺組織を顕微鏡で発見された病気なので、組織所見を見ないと確定診断はできません。しかし、通常は抗甲状腺抗体が陽性で、硬い甲状腺腫が認められ、バセドウ病が否定できれば慢性甲状腺炎と考えて経過をみます。甲状腺腫が大きい時は、念のため、腫瘍性疾患を除外しておくことも兼ねて、超音波断層検査をすることもよくあります。
治療の方法
甲状腺機能が正常で甲状腺腫が小さい時は、特に治療はしません。甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンを投与します。甲状腺刺激ホルモンだけが高値で、甲状腺ホルモンの値が正常なものを潜在性甲状腺機能低下症といいます。放置してしまうと動脈硬化症や、はっきりとした甲状腺機能低下症になる可能性が高いので、甲状腺ホルモンを投与します。
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